スマホから物理的に飛び出すロボットが日常生活をサポート!?新発売「HONOR Robot Phone」を山根博士が解説

山根 康宏

Specialスマートフォン買い物
スマートフォンからカメラが飛び出すという、見たこともないギミックを搭載したスマートフォン「HONOR Robot Phone(以下、Robot Phone)」が中国で発売になった。スマートフォンの進化の過程でやることのなくなったメーカーの苦肉の策と思いきや、AI時代を見据えたパーソナルロボットになるという、実は最先端をいくモデルなのだ。

カメラの裏からジンバルカメラが飛びだす

Robot Phoneを開発・発売したHONOR(オナー)は、元々はファーウェイのサブブランドから独立したスマートフォンメーカーであり、海外では世界最薄の折りたたみスマートフォンを発売するなど、意欲的な新製品を次々と送り出している。いわば知る人ぞ知るメーカーなのだが、2026年8月に発売したRobot Phoneは、どのメーカーもやらなかった機能を搭載した驚きの製品なのである。

一見すると普通のスマホ

Robot Phoneの背面を見ると、カメラ部分には複雑なアームのようなものが見える。これは、ここに内蔵された小型のジンバルカメラの支柱なのである。ジンバルカメラといえばVLOG撮影などに便利な小型カメラで、DJIやInsta360の製品が日本でも知られている。その小型ジンバルカメラとほぼ同じ機構を持つカメラをスマートフォンの背面に内蔵したのがRobot Phoneなのである。

背面にはジンバルカメラを内蔵する

ジンバルカメラを使うには、まずRobot Phoneのカメラアプリを立ち上げ、シャッターボタンの下にあるジンバルアイコンをタップする。すると2~3秒で背面に収納されていたカメラが立ち上がってくる。この動きを見ているだけでも楽しいが、ジンバルカメラ起動後にRobot Phone本体を手に持って動き回ると、カメラが被写体を認識して追跡したり、本体の動きに合わせてゆっくりと動いたりしてくれる。スマートフォンで動画を撮影する際、つい本体を素早く動かしてしまい、画面の動きが速すぎて見づらい動画になってしまうことも多いが、Robot Phoneを使えばゆっくりとチルト・パンするなめらかな映像が撮れるのだ。

ジンバルカメラとしてなめらかに動いてくれる

ここまでの説明を聞くと、Robot Phoneを「スマートフォンにジンバルカメラを取り付けただけの安易な製品」と感じる人も多いだろう。筆者も実際に購入するまでは、市販の小型ジンバルカメラとの差がどの程度あるのか心配していた。ところがRobot Phoneで動画撮影をしてみると、スマートフォンの画面いっぱいに広がる大きなプレビュー表示のおかげで、「撮っている」という没入感が非常に高いと感じた。そのせいか、撮っているだけで楽しくなり、ついつい動画を撮りたくなってしまう。

プレビューが大画面なので楽しく撮れる

撮った後、即座にRobot Phone内で編集したり、SNSにアップできるのも便利だ。またカメラを収納すれば普通のスマートフォンとしても使えるので、急な電話やメッセージの返事といった作業もRobot Phoneで行える。ジンバルカメラを起動しなくても、一般的なスマートフォンよりなめらかな動きの動画が撮りやすい。イロモノ的な製品と思いきや、動画撮影スマートフォンとして非常に優れているのである。

SNSへの直接アップロードも便利だ

快適操作のジンバルカメラ

ではRobot Phoneでジンバルカメラを実際に使ってみよう。背面のジンバルカメラ部分は普段はほこりの侵入や異物が引っかかって破損しないように、スライド式の透明カバーでおおわれている。そのカバーを手動でスライドして、カメラが自由に動ける状態にしておく。次にカメラアプリでジンバルアイコンをタップすると、後ろからカメラが起き上がるように前面に出てくる。モーターによる動きはなめらかで、それを見ているだけでも楽しいものだ。

モーターでジンバルカメラが表に出てくる

ジンバルカメラのコントロールは、小型ジンバルカメラと同様に、細かく設定ができる。動画撮影時の画像サイズは縦か横が選べ、解像度は縦向きが2.8K、横向きでは4Kで、最大120fpsで撮影可能だ。ジンバルの動きはデフォルト、チルトロック、FPV、縦向きFPV、超手振れ補正と、小型ジンバルカメラが備えている機能を一通りそろえている。他にはAIモーションの設定で被写体の顔をAIが判別して追従するさせるといった機能も充実している。

ジンバルカメラを立ち上げた状態での設定画面

さらに動画撮影の性能を高めるために、ハリウッド映画の撮影などプロ仕様の映像カメラを展開しているドイツのARRI(アーノルド&リヒター)と提携。カメラアプリにはARRIシネマモードも搭載した。このモードでは露出やホワイトバランスを手動で調整できるほか、ARRIのプロ機材と同じ複数の映画調カラーを画面上でリアルタイムに適用できる。撮影サイズは映画と同じシネスコサイズの2.39:1の横長比も利用可能で、プロの編集ソフトにそのまま取り込んで本格的な色編集まで行える仕組みになっている。

このモードは、画面のインターフェースもどことなくプロ仕様なので、動画を撮るときの気構えも変わってくる。筆者も今では動画撮影をほぼこのARRIモードで行うようになった。写真分野でライカやハッセルブラッドなどプロフェッショナルなカメラメーカーと組んだスマートフォンが増えているが、HONORは動画撮影で他社の上をいく提携を行ったわけだ。

ARRIシネマモードでプロレベルの映像を撮影可能

さてRobot Phoneのジンバルカメラを使っていて唯一気になったのが、ジンバルカメラ部分の発熱だ。Robot Phoneはこのカメラを動かすために、業界最小サイズという強力な小型モーターを内蔵している。歩きながら撮影すれば手振れを吸収するようにモーターがカメラを動かしてくれるのだが、その細かな動きによりモーターも発熱するようである。そのためRobot Phoneには背面に貼り付け、本体上部のカメラ方面に空気を送る冷却ファンも販売されている。

背面に取り付ける空冷ファンも用意される

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山根 康宏

香港在住携帯研究家
スマホとSIMを求めて世界各国を取材中。海外、特に中国の通信事情に精通している。大手メディアへの執筆も多数。海外スマホ・ケータイを1800台所有するコレクターでもある。

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