1人参加でも超満喫!PLATINUM STANDINGは最高&安心!そして“あのクマ”はどこへ?3年目の貫禄を感じた「GMO SONIC 2025」

花森 リド

GMOインターネットグループSpecialイベントクリエイター映画・音楽

ANYMAのアンドロイド“Eva”があまりに巨大&リアルで、結果としてANYMA(と自分)がミニサイズに感じる

GMO SONIC 2025のDAY1は、アーティストラインアップのジャンルがダンスミュージックに寄っていたこともあり、空間全体の雰囲気がクラブのようでした。

踊るのが好きな人は午前中からウォームアップなしでド派手に踊り、ヨーロピアンのお客さん数人がなぜだか会場外のグッズ売り場の音楽で踊り(欧州でよく見かける“路上で立ち話に興じるおっさんたち”のようで、とてもよかった)、時間が進むにつれオーディエンスがフロアにあふれかえり、ドリンク片手にまったり踊ったり、耳元に口を近づけておしゃべりを楽しんだり。

ただ、ANYMAのパフォーマンス中だけは、クラブの雰囲気とも違う、独特の緊張感がありました。

ANYMAのパフォーマンスについては、おそらく大勢のダンスミュージック・ラバーがSNSで動画を見たことがあるはずです。ノーブルな顔立ちの巨大アンドロイド(だいたい常に怒ってそうな雰囲気)が腕を振り上げ、スクリーンをぶち破り、人体に悪そうなブレスを客席に向けてブーブー拭きかけ、やがて森羅万象を想起させ、ANYMAの音楽と共にオーディエンスが熱狂……巨大な高解像度のスクリーンがあるからこそ、楽しいパフォーマンスです。

実際に体験してみると、動画で見る1000倍よかった! ANYMAのVJに出てくるアンドロイドの“Eva”たちがあまりに巨大で、質感も生々しく、ステージ上にいるANYMA本人も、私たちオーディエンスも、やがて豆粒に見えてくるから不思議。PLATINUM STANDING専用エリアでステージを間近に見ていたおかげで、余計に自分を小さく感じてしまう!

演出に見とれているうちに自分を含め全ての人間が豆粒サイズに見えてくるANYMAのパフォーマンス(Photo by masanori naruse)

もし私が神の視点でさいたまスーパーアリーナを見下ろしていたら、Evaが人間で、アリーナで踊る私はコオロギみたいだったハズ(ANYMAは観客をコオロギの気分にさせるつもりはさらさらないでしょうけど)。

そしてダンスミュージックやレイブカルチャーに興味がない人でも、ANYMAのパフォーマンスは会場に足を運びたくなる魅力があると感じました。その点でいうと、ANYMAが音と映像と演出で見せてくれる世界は、デジタルアート集団の「チームラボ」が生み出すそれと似ています。最新のテクノロジーを使ってオーディオビジュアルとエンターテインメント性を美しくミックスさせて、なるべく多くの人に楽しんでもらう点が同じです。両者はファンからの愛され方も近いと私は思います。みんながその場でスマホを取り出し撮影してシェアしたくなるところなんて、まさに現代のエンターテインメントといった印象。

とにかく、体験してよかった! 日本で拝めるとは思っていなかったのでうれしい!

SKRILLEXはいつ聞いても最高

ANYMAで超絶体験をした後は、DAY1のトリを務めるSKRILLEX。

これがもう、出てくる前から楽しかった。大勢のスタッフがステージ上にドカドカとスピーカーのようなセットを運び込み(後にそれはむちゃくちゃ光るライトだと判明)、幕間に流れる音楽はボブ・マーリー。ユルい。

ANYMAでフューチャリスティックな森羅万象と巨大アンドロイドのブレスを散々浴びたあとで聞くジャマイカン・ミュージックは心身にしみて、なんだか自分を取り戻したような気分になります。ああ、私ってコオロギじゃなくて人間だったんだな、って。

まあ、どんなにユルく待っていたとしても、始まっちゃうとこんな感じ。

炎、花火、光!さいたまスーパーアリーナで許される限りの演出をフル展開(Photo by masanori naruse)

SKRILLEXの魅力は「とにかくDJがうまい」に尽きると私は思います。

もちろんトラックメーカーとしてのセンスもすてきです。例えば最近リリースした「Fine Day Anthem」は90年代にヒットしたOpus IIIの「It’s a Fine Day」がサンプリングされていますが、「It’s a Fine Day」はテクノの大御所オービタルの大ヒット曲「HALCYON」でもサンプリングされています。つまり目新しさの意味では「ああ、Opus IIIとオービタルのあのアンセムね〜」ってオーディエンスからは受け止められかねないのに、SKRILLEXの「Fine Day Anthem」もめちゃくちゃかっこいい。最高。さすがグラミー賞をいくつも獲得しているだけあります。

ただ「生でSKRILLEXを見る理由」の最たるものは、やっぱり「SKRILLEXのDJプレイが聞きたい」なんですよね。どんなに爆音でも、オーディエンスが踊り疲れた後でも、絶対に聞き疲れさせないプレイ。サービス精神旺盛で、みんなが聞きたい懐かしい名曲から最新の未発表曲までスルッとつなげます。そして期待を裏切らないどころか「そろそろ終わるんじゃない?」とみんなが思ったタイミングで、その日1番の盛り上がりを作るセンスの良さ。

歌手でもなく楽器を演奏するわけでもないDJに世の人が熱狂する理由がよくわかります。ステージ前方で体験できてよかった。

ドカドカと運び込まれた巨大セットは定期的に光っていました(Photo by masanori naruse)

この日最もレーザーがほとばしっていた瞬間(Photo by masanori naruse)

来年も楽しみ〜

PLATINUM STANDINGの特別感、中高生も楽しめるクリーンな環境、圧倒的な演出、そして最高の音楽体験。全てが詰まった1日でした。

来年の「GMO SONIC 2026」も、もっともっと進化したフェスになるはず。寒さなんて吹き飛ぶほどアツい2日間を期待してまーす。
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花森 リド

ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori

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